嘘カノ生活
「おーい…」


返事なんてかえってくるはずのない相手に呼びかけてみた。 
 
気づかれないように、朝未の髪に触れてみたり。

なんて、無意味な行動だとわかってはいるけど。
 
 
 
 
 
「んー…」

「うわっ?!」 
 
いきなり寝言なんて、ガキかよこいつ。

ていうか、勢いで大声を出したのにも関わらず全然起きないのもどうかと思うけど。
 
 
 

…でもなんだかんだで、辛そう、だよな。 
 
そう思って俺は台所でタオルをぬらして、朝未の額に乗せた。 
 
その瞬間の触れるか触れないかのぎりぎりの俺の手。 
 
妙に熱が伝わってきて。
 

 
 
 
「カゼ移ったらお前のせいだぞ」
 
そう言ってもう一度。

唇を合わせた。
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