嘘カノ生活
ありえない、この人。

どうしてごまかすという手段が思いつかないんだろう。

素直に、言うなんて…


「もー、ほんと、家帰れないです…」

「あそ??じゃあここ住めば?」

「は?」

「同棲ーって」


 
にひひといつものように笑う間宮さん。

悔しいけれど、すごく好きだと思う。


 
「バカ言ってないでください。…って!」

ひと、時計に目をやると、針は8時30分を指していた。



「ちょっと…、今日、平日ですよね?」

「おー、俺は午後から講義だけどな」

 
…本当に。

俺様自己中野郎ですか。

 

「あたしは学校あるんです!起こしてくださいよ!」

「だってお前熱」

「もう下がりました!」

 
あせあせとカバンをもって玄関で靴を履く。

「いってきます!」

 

小走りで階段を下りて、大事な事に気づいたあたし。
 
 
「…チャリ、ない」
< 87 / 321 >

この作品をシェア

pagetop