【モテ期到来】
「太一君…?」
「…あ…紗夜香ちゃん。」
艶のあるストレートの黒髪を揺らして微笑んだ彼女は、アカリに気付いてムッと口を尖らせた。
「なんで佐久間さんと一緒に居るの!?」
「太一は私が呼んだの!いい加減諦めたら!?」
睨み合う二人に挟まれて居心地が悪い。
おまけに周りの人達の視線が痛い…。
「太一君は優しいから断れなかっただけよ!…ね?そうでしょ、太一君。」
「別にそういう訳じゃ…」
「太一!ほっといていいよ、あんなの!」
そうは言っても…今にも泣き出しそうな紗夜香ちゃんを前に、ほっとく訳にもいかない。
とりあえず場所を移して人が少ない所まで来ると俺は静かに口を開いた。
「二人ともさ…もう少し冷静に会話出来ない?」
「「嫌よ!!」」
…あ~そうっすか…。
「太一君、美術部で展覧会してるの!見に来て!私、案内するし!」
紗夜香ちゃんが俺の右腕を掴んで引っ張る。
「ちょっと!太一は私が案内してるの!三国紗夜香は他の男と行きなさいよ!」
そう言い返して負けじとアカリは俺の左腕を引っ張った。
「……………」
…なに、この図は…。