消して消されて
翌日。

晴天の下で理香はいつも通り登校していた。

登校中、昨日の出来事を思い出していた。






唯を逃がしたあの後、理香は千里と取っ組み合いになった。

「絶対に行かせない!」

理香は渾身の力でナイフを持った千里の右腕を自分の右腕で地面に抑えた。

「この!」

千里は身を翻し、理香の上に仰向けにのしかかった。

「うっ」

その際千里の左腕が鳩尾に入った。

理香は思わず力を緩めてしまった。

「私はあいつを殺す･･･」

もう正気の沙汰とは思えなかった。

千里は冷静さを失い、今ナイフを持ったまま移動すれば誰かに見つかることさえも考えていないようだった。

千里は立ち上がると虫けらを見るような目で理香を見下した。

「じゃぁね」

千里は理香の腹部を思い切り踏みつけた。

「いっ･･･」

理香は腹部を抑えて去っていく後ろ姿を見つめた。

意識が途切れそうになった時、理香は信じられない光景を目にした。

目の前から千里が消えた。

驚いて飛び起きようとしたが、頭と体が一致せず理香は意識を手放した。

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表紙・目次

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