猫かぶりな男とクールな女



「なんだよ、それ……ってか、なんで蒼介までそんな事…」



あからさまにうなだれる誠。



「いや…………ゴメン。なんとなく、お前には似合わない気が………」



「フォローになってねぇし」



「ふふふっ!さすが蒼介君!
………するどい!」



口に手を当てたまま考え込む蒼介を余所に…
遥は『まぁ、そのうち分かるわよ』とだけ言って、この話題を断ち切った。
そして不適な笑顔でスケジュール帳を指差した。




「それよりさ……平日なんだけど、来週のこの日、空いてる?」




蒼介と誠がその指先に視線を送ると…




―来週の木曜日…




「不運にも………俺は休みですね。」


「何よそれ。ケンカ売ってんの?」


「俺、平日は休み取りにくいんだよねぇ……」


「じゃあ、誠はダメね。」



「って、おい!引き止めろよ!」


遥の不適な笑みが更に怪しさを増す。




「誠は…………来なきゃ後悔するわよ?」




「何を…………企んでるですか……
俺、やっぱ出勤にします」



さすがの蒼介も不安になる。




「蒼介くんは絶対参加よ。
来なかったら家でも会社でも探しに行くし」




――……ホントに来そうだな、この人……




「じゃあ………水曜の夜に私のマンション前に集合って事で。」



「え?なんで水曜の夜?木曜じゃねぇの?」




「違うわよ。次の日が休みじゃないとキツいから。」




「「………誰が?」」




「私が。」




< 22 / 93 >

この作品をシェア

pagetop