猫かぶりな男とクールな女

遥と誠




****



「まーこーとっ!!まーこちゃん?ねぇってばー!
まこちん!」



「………うるさい。」



二日酔いのまま寝過ごした人がここにも一人。



―明け方。結局、蒼介は誠を置いてそそくさと一人帰って行ってしまい…
夏帆は綾だけを起こして二人一緒に始発で帰ってしまっていた。


目を覚ましたのは昼の13時過ぎ。ご飯が炊けるにおいにつられ、重たい体を起こすと、カウンター越しに遥がせわしなく動き回っているのが見えた。



「あれ…皆は?」



「あ、おはよ!
ご飯もうすぐ炊けるから昼ご飯食べて行きなよー」


誠の問い掛けに答える事なく、カチャカチャと音を立てて食器を取り出す遥。



「昼ご飯…?
…もうそんな時間かよ…。」



寝癖でついた異様な分け目が痒いのか、頭をガシガシ掻きむしりながら、キッチンを挟むカウンターに腰掛けた。




「あれ…そういえば、あの後どうなったの?」



「んー?三人で飲み直したわよ?」



「はぁ!?三人でって…蒼介と夏帆ちゃんと?」



驚いた誠はカウンターから身を乗り出した。



「あぶな…っ。ちょっと、植木倒さないでよー」


遥は慌ててカウンターに飾ってあった小さな植木を端にずらす。



「だってアンタ達、寝ちゃったまま起きないんだもん」


決して起こしてなどいないのだけれど…平然とご飯を盛り付ける遥。


< 50 / 93 >

この作品をシェア

pagetop