狂想曲
「キョウがクローゼットの奥に隠してたエッチなやつ」

「馬鹿か。つーか、勝手に発掘しやがって」

「キョウの趣味がよーくわかった」

「あのなぁ、あれは俺のじゃなくてトオルさんのだから」

「はいはい」

「いや、マジで」

「説得力ないって」


そんな他愛もないことを話してひとしきり笑った後、ふうっ、とキョウは息を吐き、



「なぁ、律」

「うん?」

「奏に、会うか?」


コスモス畑での言葉と同じ。


でも私は、きっとその話なのだろうと思っていたから。

この3日間、ひとりっきりで過ごす中で、考え続けていたことのひとつ。



「うん」


私はそれだけ返事した。

キョウは少し沈黙を残した後、



「じゃあ、1時間後にトオルさんの店に来られるか?」

「うん。大丈夫」

「わかった。奏にも伝えとくわ」


電話を切って、私は深呼吸した。

これから、本当に、奏ちゃんと会うんだ。


いつかこんな時がくるだろうとは思っていたとはいえ、さすがに直面すると緊張してきた。


でも、私はそれを飲み込んで、準備をするために着替えをした。

どんな顔をして、何を話すべきかと、頭の中で何度もシュミレーションしながら。

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