狂想曲


起きたらお昼前だった。

キョウは眠っていたから起こさず静かにマンションを出た。


家に帰ったら、奏ちゃんがリビングのいつもの席で煙草を咥えていた。


いつもだったら寝てる時間なのに。

私は諦めて歩を進める。



「おかえり」


顔だけが向けられた。



「寝てない? それとも起きたばっかり?」

「律」

「ご飯、カレーでいいならすぐあたためるけど」

「なぁ、律」


奏ちゃんは私を制す。


口調は優しい。

けれど、その背中が、怒っていることを抑えてると語ってる。



「無断外泊だね。言い訳くらいなら聞くけど」

「携帯、充電なくなっちゃって」

「へぇ」


トントン、と、煙草の灰を灰皿に落としながら奏ちゃんは、



「もっとマシな嘘つきなよ」


冷たく言い放つ。

でも私は、怒られる覚悟くらいしていたから。



「カレシでもできた?」

「まさか」

「嘘。匂いでわかるよ」

「何それ」


私は鼻で笑って流そうとした。

なのに奏ちゃんは、
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