Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~

-----話し終えると、昴先生は何て言葉を掛けたらいいのか…というような顔をしていた。


しんみりとした雰囲気を壊すかのように、私は少し明るめなトーンで声を掛けた。



「なんとなく、昴先生に聞いてほしかったんです!誰にも話したことないから、この話を知ってるのは昴先生だけですよっ」

『成瀬君との思い出を僕なんかに話してよかったの?』

「京ちゃんの中では思い出ではないと思います。何気ない1日にすぎないんです、きっと」

『成瀬君とはその時から仲がいいんじゃないの?』

「違います。高校生になってから私が京ちゃんを逆ナンしたんです」



私の言葉に昴先生は驚いていて、その顔が可笑しくて笑ってしまった。



「逆ナンと言うか、友達になってって言っただけです。京ちゃんは私の事なんかすぅっかり忘れてるんですよ!!酷いでしょ!?」

『子供だったまりあちゃんがこんなに綺麗な女性になったんだ。無理もないんじゃないかな?』



絶対に人を傷つけるようなことを言わない昴先生の、あまりにも優しい返答に自然と笑顔になった。








「昴先生……キザですね」



その言葉が合図の様に、私たちは顔を合わせ声を出し笑い合った。


私の大切な思い出を誰かに知っててもらいたかった。


昴先生なら、きっと大切に胸に留めておいてくれると思うから。






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