Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
「伝えたいと思っている事で後回しにしていい言葉はないんですよ」

「後回し?」

「みんな心のどこかでいつでも伝えられるって思ってます。伝えたい相手がいることが当たり前かの様に……」

「それって……」



音葉さんはどうやら私の言葉が京ちゃんの命が残りわずかだとでも言いたいかのように聞こえた様だ。


少し怖い表情になる。



「京ちゃんならきっと助かります、きっと……。私が言いたいのは相手も自分もいつ何が起こるか分からないってことです」

「ごめんなさい…私の、勝手な勘違いね」

「相手は結婚するかもしれないし遠くに行ってしまうかもしれない。自分がそうなるかもしれないし、もしかすると命を落としてしまうかもしれない…例え話をすればきりが無いです」

「そうだね…私たちはそういう出来事を、いつもどこか自分には関係ないことかのように考えてる」



私もそうだった。


自分が病気になってお母さんを失うまでは。


自分には関係の無いことだと思っていた分、ショックは大きかった。


あの時の気持ちはもう味わいたくない。





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