Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
『悪ぃ』



自然と口からこぼれた言葉は謝罪の言葉だった。


音葉の気持ちを受け入れてやれないことに対してと、今まで気付いてやれなかったことに対しての謝罪だった。


省吾が今までちくちく言っていたことをようやく俺は理解した。



「答えは分かってたんだけど、伝えたかったの」

『……あぁ』

「まりあちゃんが教えてくれたんだ……想いを伝えることの大切さを」

『それ…俺もあいつに教えてもらったよ』

「私たちもっと成長しなきゃね」



音葉のお蔭で気まずい雰囲気にはなからなかった。


心の中はどうあれ、ずっと笑ってくれていたから。



『そろそろ行くか』

「そうだね」



起き上がり、海に背を向け俺たちは歩き始めた。



"京ちゃん"


えっ…………。


まりあに呼ばれた様な気がして振り返ると、いきなり勢いよく突風が吹いた。


まるで、まりあが頑張れと背中を押してくれているかのように。



『まりあ、また来るな』



俺は笑顔を残してまた歩き始めた。


新しい道を切り開くために。






fin.

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