大切なもの
「遅刻するぅぅう」

そして、坂を駆け上りながら、叫ぶ少女。

今日は、彼女にとって転校初日。

始めての転校だ。そして、何とか間に合う。

キーンコーンカーンコーン

高校の門、一歩手前。「迷った」とか、言えば大丈夫だろうと、

考えていると・・・。

「誰?」

後ろから、男の声がする。濃い茶髪の男。17歳くらいだろう。

自分と同じ位を浮かべる。そして、相手は無表情で、クールに、

「誰?」と聞いておきながら去っていく。

少女は、男を嫌悪の表情で見た。しかし、門に入った瞬間・・・。

少女は硬直。何故か・・。それは、職員室の場所が分からないという事実。

少女はしょうがないので、先ほどの男の元に駆け寄る。

そして

「職員室まで、案内してください。」

と、頭を下げた。

「・・・・」

暫しの沈黙。これは相当キツいものだった。

少女は男の顔をみる。男は・・・
< 2 / 3 >

この作品をシェア

pagetop