一人睨めっこ

二節 思考

『なーるほど……』

 駿兄が呟いた。

「俺、どうすればいいんだろ?」

 俺の問いに、優兄が答えた。

『んな事分かんねぇよ』

 そんなはっきり言わなくても……。

『ただ、何があっても諦めるな』

 優兄は俺を真っ直ぐ見つめた。
 ――強い瞳で。

『真実から目を逸らすな。絶対に生きろ』

 そんな真剣な言われると、何だか怖くなってきてしまった。
 そもそも、死ぬ危険性があるのか?

『何が起こるかなんて全く分かんないからな』

 俺の疑問を察して優兄が付け足した。

 そうか……優兄だって、死ぬような目にあったんだ。
 こんな、ただの遊びで。

「っ……」

 頭が痛い。
 たんこぶの所だ。
 淳め……思いっきし殴りやがって。
 ――ん?
 なんで殴ったんだ?
 俺を家に連れていく為?
 それだったら普通に誘えばいいよな。
 誘拐じゃ無いんだから。

「淳、1つ聞いていいか?」

『何?』

 淳が言った。

「何で俺の頭殴ったんだよ」

『え? ――ああ!! あれね!』

 こいつ、忘れてただろ!
 俺を殴っておきながら!
 
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