一人睨めっこ
『真琴、葛西起こしてこいよ』

「俺ぇ!?」

 嫌な予感がするんですけどー! 風呂の時と言い……。

『寝坊したお前に拒否権は無いのだ! 行けぃ!!』

 ……何だそりゃ。
 仕方ないな。
 まぁ起こすだけだもんな。

 俺はそう自分を納得させ、リビングを出た。




 俺は葛西が眠っている部屋のドアをノックした。

「起きろー!」

 返事はない。

「飯出来てるぞー!」

 返事はない。
 俺はドアを開けてみた。

 葛西、爆睡中。

「起きろっての」

 俺は葛西の体を揺すった。

『ん〜〜〜〜』

 お、起きたか?

 葛西は寝ているのか起きているのか分からない状態で体を捻らせた。

「起ーきー…………ろ!?!?」

 ふと、何か暖かいものが俺を包んだ。

「ってかかかか葛西!?」

 か、葛西が俺に……抱きつ――

『お母さん……』

 ――え!!?
 俺、男だけど!?
 ……じゃなくて

「葛西っ!!!!」

 俺は大声を出した。

『ん……えっ!? きゃあ!!』

 さすがの葛西も目を覚ましたらしい。
 そして今自分がしているとんでもない事に気付き、慌てて手を離した。

『ごめっ……寝呆けてて!!』

 そんな事より(それも気になるが)俺は気になる事があった。


「“お母さん”って……?」
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