銀盤少年

漆黒の狼


フィギュアスケート部の顧問に、新入生でフィギュアスケートに興味がある人がいるかどうかと再度尋ねてみたら「そんなの判るわけない」と即答された。


ですよね。たく、本当に役に立たない顧問だ。


この人は本来スピスケ部の顧問でフィギュアスケート部と掛け持ちしているが、本職はスピスケなので基本的にこっちは放置されている。


まあルールも何も知らない人だし、スピスケとフィギュアは似たようで全く異なるスポーツだから、口出しされても俺達が困るだけだ。


寧ろ放置で好都合。だけど部員集めくらい手伝ってくださいよセンセー……。


こうなったらフィギュアに興味があるっぽい生徒を虱潰しに探して行くしかない。


感じ取れ! フィギュア好きっぽい人のオーラを!


精神を研ぎ澄ます。が、そんなオーラを受信できるはずもなく、途方もなく校内をウロウロ徘徊するはめになった。


とりあえず入部募集のポスターを張りに、部室棟近くにある掲示板に足を運ぶ。


優希に手伝ってもらったお手製ポスターを貼り付けて、下校しようと元来た道を引き返そうとしたら、何やら部室棟の裏側から誰かの話声が聞こえてきた。


この声はヒロ?
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