銀盤少年

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「上手くタクさんに言い包められたね」


約一週間ぶりに再開したヒロ大先生は、合宿での出来事を一通り話し終えた後、一刀両断でそう言い放った。


「言い包められた? なにが?」


なにをどう言い包められたのだろう。


タクさんにプログラムを見てもらって作り直してもらったけど、修正前と修正後どちらを滑るかの最終的な決定権は俺に委ねてくれたわけだから、言い包められた覚えはない。


うーんと頭を捻ってみるが、思い当たる節はない。ヒロは何を言っているのだ?


ヒロは腕を組みながら何やら思案していると、意を決したのかパッと顔を上げてこう言い切った。


「言おうかどうか迷ってたんだけど、以前のフリーは全然カズに合ってなかったんだよね。というか駄作? 名曲の無駄使い的な?」


グサァッー! と、言葉のナイフが心臓に突き刺さる。


な、なにもそこまで言わなくたって……日本にはオブラートに包むと言う言葉があってだな……。


心の傷口がガバッと開いて、隙間風がヒューヒューと駆け抜ける。
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