ハルオレ-episode彼方-

アルバイト



蘭藤荘に来たのが3月だった。それから新しい生活の物を揃えたりと、いろいろしているうちに4月がやって来た。

本当ならこの4月、僕は高校生になるはずだった。

だけど高校に行くことをやめた僕はこの4月から生活のためアルバイトを始めることにした。
まぁ、正直。生活のためというのは肩書きだけかもしれない。

実はうちの母親は世界で少々名の売れている映画制作会社に勤めている。
自身で映画を作るくらいの演出家だ。彼女曰くもちろん給料は相当頂いているという話。

だから全くと言っていいほど、僕は生活費には困らない。

だけど…。

アルバイトを生活のため…いいや、自分のためかな。

僕は全てを、自分を棄てるために家を出たんだ。
だからこれからは一人で新しい生活を送って、今までとは違う自分になりたい。

そして何より新しい人生の上にたって、あの事を、あいつを忘れるんだ。

僕に深い傷をつけた、あいつを…。

だから僕はまずアルバイトを始める!

こうしてアルバイトを探すため町を歩き回った僕。

しかし、初めてのバイト探しで苦戦をするかと思ったが、意外にもあっという間に僕の働く職場は決まってしまった。
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