神崎探偵事務所へようこそ!!


股間を押さえながら
よろけながら
こけつまろびつしながら
必死に出口を目指す、駿くん





――あ~、アホくさい!!





『青臭いガキの奏でる
クソつまんないデート』





お母さんが食卓で呟いた
悪魔な一言が脳裏によぎる






確かに……
遊園地に来たのは楽しかったけど…



あんなにも楽しみにしていた初めてのデートは、思ったよりも平凡で、ときめきも、ドキドキも、何もなかった。






「はぁ~、私ってやっぱり聖ちゃん達に汚染されてるのかなぁ…」






認めたくない一言を呟いて
駿くんに投げつけられた銃を拾って
近くにある避難口を探す。





このアトラクションも二人だと楽しいけど、一人だとつまんない。一人でコンプリートする理由もないし、とにかく外にでなきゃ。





きっと…
壁際にあるはずだよね、避難口






カベを軽くポンポン叩きながら進んでいくと最初は『ゴッゴッ』という中身の詰まった音がしてたけど、ある場所からは『コンコン』と少しカベの薄い音に変わっていった。






「あ、多分ココだぁ…」






この音は向こうに空洞がある証拠。
きっとココが避難口なんだ。





そう確信した私はゴンゴンとそのカベを思いっきり叩く。




でも…




「あれ~??うんともすんとも言わない…。」




扉は一向に開く気配がない。



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