学舎ハーレム
グラウンド

「結局、繋がりがよくわかりませんでしたわ。」

麗美が言う。

「麗美は負けたら悔しいって思うか?」

「当然ですの。」

「一度も負けたことがなく、剣道に関して悔しさが欠片もない奴が負けたらその悔しさは普通じゃない。


ただでさえ負けん気の強そうな奴が完全な敗北を味わうんだからな。


しかも、人前で…だ。

恥ずかしさもあるだろうな。

さらには絶対的に自分が有利な条件下での敗北だ。


下手に心の弱い奴がやられたら立ち直れないかもな。」

「そんなことをして大丈夫なのですか?」

閖が言う。

「まぁ、それは精神力しだいだ。」


「でも、わざわざそんなことをする必要があるんですか?」

夕日が言う。

「例えば、だ。

毎日同じことを繰り返してたらそれは当然の行為となり、いつしか心までが虚ろになる。


毎日、竹刀で素振りをする奴がいて、一度も負けたことがなければ素振りの行為は疎かになる。

剣や竹刀ではなくただ棒を決めた回数振るだけ。

無目的で無感動。


それが試合でも同じだとすれば、

心構えは愚か、相手への無礼だ。

さらには圧倒的な頂点に立てば剣道をやる意味さえなくなり、やがては止める。


とにかく、このままじゃ虚しいだけだからこそ飛びっきりのインパクトが必要なんだよ。」

幸大は剣道部員が持ってきた木刀を受けとる。
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