カンボジアのコト

気がかり

私は、駅のホームに立ち、仕事先に電話をかけていた。
電話に誰か出てくれるのを待つ。
「はい、××です。」
鈴をころがす…という表現がピッタリ似合う声。
余韻を楽しみたいが、そんな場合ではなかった。
「あの、高橋です。お疲れさまです。」
「あら、どうしました?」
「それが・・・昨日、蚊と格闘のすえ、ベー●マットつけたんですけど、消し忘れたんです。」
そう、出発前、おいら最大の悩みの種がは、ベー●マット。
いつもは、飛びかかって倒せる蚊が、昨日はしつこく、倒せなかった。
そればかりか、逃げては、プーンという音をたてて舞い戻ってくる。
私は、明日から数日間の休みにむけ、必死に仕事をしているのに、
プーンと!!プーンと!!!
大人になるんだ、大人になるんだおいら、と言い聞かせ、ベー●マットをつけ、仕事にはげんだのだ。
コロコロと笑い、鈴を転がすような声の方はベー●プマットを見に行って
「消えてましたよ」
と教えてくれた。
ありがとうございます!!とお礼を言い、電話をきった。
これで、思い残す事はない!!いざ出陣!!
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