カンボジアのコト

兄ちゃん

ゲートが開いたら、バスに乗るのです。
飛行機がある所まで何台かのバスに乗って移動するのです。
私の大荷物は、邪魔です。
まあ、気にしない。
1台目のバスが、大荷物の私を最後に乗せて、ドアを閉めようとした時、
もう1人お兄さんが乗って来た。
たぶん、21、22歳だろうと思う。なんとなくフランス系。
カッコいい。
一人旅っぽい。席が隣になったら良いなあ、と眺めた。
大きな荷物を、また人に手伝ってもらって、開いている所に入れた。
それから、自分の席を確認する。
私は窓際で、通路側に、先に座っている人がいるので、
声をかけて座ろうとすると、顔をあげたのは、さっきのフランス系の兄ちゃん!
願ってみるもんですな。
「どうも」と挨拶して、兄ちゃんの隣に座る。
ご飯を食べて、入国の時に出す紙を書いたら、すぐにプノンペンに到着する。
私が、もごもごとご飯を食べる。
私は食事が遅い。
横では、兄ちゃんが、キレイにナイフとフォークを使って上手に食事をしている。
さすが…。見習いたい。
食事が終わって、ビザの申請の紙と、入国の時に出す紙を書かねば。
全然話せない。
と、用紙を見ると、ん?なんだこの紙?
前に来た時と、ビザの申請の様式が変わってる。
英語読めないし…。
隣の兄ちゃんが用紙を書き終わった所で、書き方の分からない所を聞くか。
と兄ちゃんが書き終わるのを待つ。
で、兄ちゃんに声かけた。
口実ができて、ちょっと嬉しい。
……この兄ちゃん、絶対私より年下なのに、私を年下だと勘違いしている。
にしても残念だ…非常に残念だ…。
せっかくサカナ君みたいにカッコいい兄ちゃんだった。
私の希望としては、声も高くてほしかった。
声が渋い。
まあいい、世の中希望通りにならぬものだ。
渋い声を聞きながら、質問する。
それでも、いくつか兄ちゃんの言っていることが分からない所があった。
ついでに、兄ちゃんも、ここは自分も分からないって言ってる所があった。
やべー。どうしよー。兄ちゃんに、噛み砕いて説明してもらっても理解できないって事は、
誰に聞いても分からないってことでしょー?
ピーンチ。
到着してから誰かに聞くか。
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