私の中の子供達
江崎さんは少しだけ考えて、


「いいですよ。」


とだけ言った。いい?本当に本当か?きちんと意味は伝わってるんだろうか?



「…冗談かな?無理に乗らなくてもいいんだよ。」



心にも無い言葉で確認を取る。嫌…あまりにも無理矢理は好みではないが。


「え?冗談とか言いませんよ。『おかえりなさい』を言うだけでしょ?平井さんの家ここから近いし、私の家の方向と同じなんです。」



一瞬、息が止まった。


「おおおお!ありがとう!!」

「動かないっ!」


「…すいません。」


物凄い恥ずかしさと嬉しさで畳を転げ回りたい気分で一杯だったが、これ以上の失態を見せて気が変わっては困ると、懸命に我慢をしている自分が気持ち悪かったりと、とにかく落ち着かなかった。


< 46 / 134 >

この作品をシェア

pagetop