♂ vs ♀ ~続・男女寮戦争~《完》
「ごめん…」

瀬戸内が、足を止めて振り返る。

彼の視線に、あたしはうつむいた。



「本当なの…?」

驚きなのか、疑いなのか、わからない。

瀬戸内は、複雑な表情を浮かべている。

あたしは、小さくうなずいた。

瀬戸内は一瞬目を伏せると、あたしに背を向けた。



「…行こう、唯香」

瀬戸内は、唯香ちゃんの手を取った。

泣きじゃくる唯香ちゃんの手を引いて歩いていく。



無理もない…

全部、あたしが悪いんだ。



あたしは、健太とキスをした。

しかも、一度だけじゃない。

瀬戸内に対する裏切りは、それだけじゃないんだ。

あたしは強くこぶしを握って、あふれそうになる気持ちを抑えていた。
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