♂ vs ♀ ~続・男女寮戦争~《完》
「…このバカ」

瀬戸内の黒髪も、雨に濡れていく。

瀬戸内は、あたしの肩に頬を乗せた。



「いつお前のこと、どうでもいいって言ったんだよ」

瀬戸内が小さくつぶやく。

瀬戸内の声に、肩が震えそうになる。

あたしは泣き崩れないように、自分の唇を押さえた。



制服の白いシャツが、雨に濡れて透けていく。

冷たい雨が、あたしたちの体温を奪っていく。

それでも、瀬戸内の温もりを感じられるなら他に何もいらない。

あたしは、雨の中で瀬戸内の手をギュッと握った。
< 248 / 259 >

この作品をシェア

pagetop