GIFT











要はひとり、ぽつんと取り残されていた。


………なんだあいつは。


あまり表情が動かないのかと思えば、ふわりと笑う。

怖がらないから、自分のことを知らないのかと思えば、当たり前のように知っていた。



「…………矢野、麗………か」


ひとつ煙を吐き、短くなったタバコをコンクリートに押し付ける。



………変な奴…。


新しいタバコに火をつけた。


(……それにしても、その名前どっかで…)


そこまで考えて、不意に下からドアの開く音とともに声がした。




「要ー、いるか?」


ヤスの声が聞こえ、下を除きこむ。


「んー。ここー」


目が合い、苦笑された。


「まだ寝てたのか?」

「ん、………いや」


そこでふと気付いた。



………俺昼寝しに来たのに一睡もしてねぇじゃん。


さっきまで矢野がいたため寝れなかった。

まぁ理由は寒かったのもあるし、なんか隣に人がいると落ち着かない。


そこで言葉を切ったのを不思議に思ったのか、ヤスが怪訝そうに見上げてくる。


「……結局寝てねぇ。さっきまでなんか居たから」


そういうと、ヤスは何かを思い出したのか「あ」と声を出した。
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