近すぎて、遠すぎて。

「なにこれ。……手紙?」


あたしは頷いた。



「伊保三咲ちゃんっていう子から預かったの。渡してって。」



あたしは精一杯笑うの。
そうしなきゃあたしは崩れてしまう。
無理矢理でも、笑うの。



「ん。ありがと。わざわざ届けてくれて。」



「頼まれたからね。じゃあっ!明日ね。」



逃げるように帰った。

急いで部屋に戻り、ベットに飛び込む。



「ふぇっ…うぅ…」



枕に口を押さえ付けて、
声を押し殺し泣いた。





ねぇ。

海斗は、その手紙を見てどう思った?

うれしいって思った?

なんとも思わなかったかな。


どういう気持ちでその手紙見てるか気になるよ。


あたしから、あたしじゃない人の手紙を渡されてどう思った?



あたしは、渡すのすごい苦しかったよ。
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