碧眼の天姫―刀の後継者


「…目覚めよ…天の刃、断末の呼び声と共にこの地へと舞い戻れ!!」


―キイィィィィン!!!!


刀は金切り声のような音を放ち碧く光り出す。



絹の布が解け粒子となって消えた。



パッと見開いたあたしの瞳は黒から碧へと変わり輝く。


「憎いか…私が……」


鬼は不敵に笑う。
それが無性に腹立たしい。


「憎いのなら…刀を取れ。私をその刀で貫いて見せろ」


鬼は氷の刃を身に纏い、斬りかかってくる。


「美琴ちゃん!!!!」

「はあぁぁっ!!!」


―ガキンッ


刀がぶつかり合う。


すごい力………
手が、腕が痺れる……


「く…ぅ…………」

「どうした…天姫……
殺してしまうぞ……」


鬼はあたしを薙ぎ払った。


―ドカンッ

「かはっ…ぅ……」


壁にぶつかった衝撃で壁が崩れる。


―ガラガラガラ…


「…千年…離れてて…危ない…か…ら……」


鬼から視線を離さずに刀を構える。


「俺は此処にいる…一人にしないって言ったでしょ…」


千年の言葉に…何でこんな安心してるんだろ…


「ありがとう…千年……」

『ヤルノカ…美琴……』


刀から天鬼の声が聞こえる。


「もう迷わないよ…天鬼。今のあたしには…守らなきゃいけない人が傍にいるから…」



迷いは捨てた。
今は守る為だけに……


「この刀を振るおう」


あたしが守るのは……
つい最近出来た大切な人とあたし以外のか弱き者達…


全てを慈しみ…愛そう…








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