きら星の短編集
バレンタイン嫌いな男子
……今年もまたこの季節がやってきた。




2月14日。バレンタインデー。




誰もが知ってるように、女の子が好きな男の子にチョコレートをプレゼントする日。





でも言い方を変えれば、チョコレートを貰える男子は優越感を感じて、貰えない男子は劣等感を感じさせられる日でもある。




僕は、昔から2月14日という日が大嫌いだった。




貰えるチョコレートといえば、母さんとばあちゃんからくらいで、同級生の女子からチョコレートを貰ったことなんて一度もない。




まぁ、モテないのだから仕方ないのだけれど。




ただ、毎年辛いのは、親友宛てのチョコレートを渡すように頼まれることだ。




僕の一番の親友は、学年でも1、2を争うほどのイケメンで、でも気取ることはなく、誰にでも優しい男子。




どうしてこんな僕と親友になったのか、不思議なくらいの男子なのだ。




毎年2月14日は、そんな彼に一番近い僕にチョコレートを預け、渡してもらうのが一部の女子のステータスになっていた。




その大半は、直接渡す勇気のない女子や、大量のチョコレートに自分の気持ちが埋もれないようにしたい女子だった。




毎年、貰えもしないチョコレートを親友のために運んで早5年。




途中、ごみ箱に投げ捨ててやろうかと思ったこともあるけど、親友は何も悪くないし、女子の生き霊に呪われそうなので、できなかった


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