きら星の短編集
蛍に恋した男子
僕の学校で、僕が一番好きな場所。




非常階段の一番上まで登ったところ。





本当は行っちゃいけないんだけど、行けないようにしている柵の鍵が壊れていることに気がついてから、僕の一番好きな場所になった。





ベランダになっているその場所からは、色んな色の僕が住んでいる街、真っ青な海、青々と生い茂る山が一度に見える。





そんな美しい景色が、一日に一度だけ、全て同じ色に染まる。





西に面しているこの場所は、夕陽が沈んでいく時間に、夕陽色に染まりゆくその光景を一人占めすることができるのだ。





特にその夕陽色が見える瞬間が大好きだった。



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