【完】そばにいるだけで

いろんな恋のかたち





バレンタインデーも間近というある日の学校帰り、わたしはドーナツ店に立ち寄った。



ドーナツとジュースを盆の上に載せて、店内を見回すと、窓際の席に見覚えのある後姿を見つけた。



三郷さんだった。



とっさに目をそらそうとしたけれど、その前にこちらを向いた三郷さんとばっちり目が合ってしまったので、わたしはぎこちない笑顔を作りながら、彼女に近づいた。



「座って座って」



意外にも三郷さんは、わたしを歓迎してくれているようだったので、少し拍子抜けした。



三郷さんの向かいに座ると。


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