【短編】間違い電話
お父さんは納得したような顔でうんうんと頷いてる。



「ご馳走様」



そう言って、鞄を取りに部屋へ行くために階段を上がる。部屋に入って、机の横のフックに掛かってる鞄を持って1階に降りた。



リビングダイニングを通り過ぎる際に



「行って来ます」



と言い、玄関に向かった。



「行ってらっしゃい」



お母さんの声を聞きながら、靴を履いて家を出た。



学校までは自転車で20分。あたしは家から1番近い高校を選んだため、自転車通学。



気持ちい風を浴びながら、いつもの住宅街を抜ける。大通りに出て、飲食店や電気店、衣類店などの看板が我が1番とばかりに空を覆い尽くす。そして、また住宅街を通り、とくねくね曲がって漸く、学校に着いた。



自転車置き場に自転車を置いて鍵をかける。



「琉乃ー!!」



「きゃああぁあ???」



いきなり、抱きついてきた親友に驚いて、あたしは変な声を出してしまった。



「もう、末来驚かさないでよ」



「へへっ、いいじゃん。琉乃可愛いんだもん」



「そんな事言う末来の方がスタイル抜群で可愛いし!あたしって残念ーって感じだよ」



あたしの親友、紺埜 末来【コンノ ミライ】は、栗色のくるくると巻かれた髪にぱっちりでクリっとした大きな瞳。そして、長くて細い手足はモデル並みの自慢の親友。



「そんな事無い!琉乃のファンクラブあるの知らないの?」



まさかっ!?そんなものある訳ない。


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