Rain 2
『だから聖夜があたしを好きになってくれた時…ほんまに嬉しくてさ…。昔の嫌なこととか全部忘れられたぐらい幸せやった。でも多分ずっと不安やってん。あの子と再会した時から悪い予感みたいなのがずっとあってんな…。でもそれでもあたしは聖夜を信じてた。ってゆうより信じてたかったんやろな…信じても裏切られて傷つくことには慣れてたけど…やっぱりあたしは聖夜を信じたかった。こんなあたしのこと好きって…幸せにしたるって…言ってくれたんやもん…』




あたしがそうやって話してると、聖夜がそっとあたしの手をとり自分のおでこに当てた。




『話続けて』


『え?このまま?』


『うん』





不思議な感じだった。


聖夜は目を閉じたまま何かを思い出そうとしてるように見えた。




あたしはそんな聖夜を改めて好きだと思った。



優しくて律儀で…





でもこの優しさは聖夜の良さでもあり悪さでもある。



この優しさが聖夜自身を悩ませて苦しめてしまうんだから。
< 178 / 210 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop