Rain 2
『バイバイ…お父さん』



あたしはそう言って病室を出た。ドアを閉めた瞬間、わけも分からずに泣いていた。




悲しかったわけじゃないはずやのに…







昔お父さんが出て行ったあの日、あたしも同じことを言われた。






『ちぃちゃんバイバイ…』





あたしは傘をさして歩いていくお父さんの背中を見えなくなるまでずっと見てた。




あたしはお父さんと同じことをした…。





なんで涙が止まらへんねやろ…





悲しいから?

悔しいから?




今なら分かる…。



多分あたしは寂しかったんだ。





あの雨の日…


お父さんが出て行ったあの日からずっと。




全てが狂い始めたあの日から。
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