Rain 2

時計を見るたびに時間が過ぎていく。




一秒一秒、音をたてて進んでいく時間の中、ただじっと待っているしかなかった。





9時…10時…10半…


時間は…何もしなくても進んでいく。






『知香ちゃんそろそろ行こうか』



千春さんがそう言って病室に入ってきた。




結局聖夜は手術前に来ると言っていたのに、病室には現れなかった。





『もうちょっとだけ待ってくれる?』


『あ…あと五分だけなら大丈夫やけど…。誰か待ってんのかな?』



千春さんは聞きにくそうにあたしに聞いた。





多分千春さんは知ってたんだろう。


でもあたしには何も言わなかった。




もしあたしに教えたら、あたしは手術を受けないと思ってたんだろう…。




『知香ちゃんもう時間やから行こうね』



結局五分のばして待ってたけど、聖夜は来てくれなかった。



あたしは知らなかった。


何も…気付かなかった。



信じてたから…


聖夜…あんたを信じてたから。
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