Rain 2
『でもあたしさぁ、なんかそういうの全部忘れようと思って。一から全部リセットしたいなって。幸せになろうと思ってんねん』


『あ(笑)あの彼と?優しそうやもんね。毎日お見舞いに来てるし』


『うん。めっちゃ優しい。あいつがいたからあたしは…香織に骨髄を移植してあげようと思えたし』


『何か言われたの?』


『うん。お前は苦しんでる人間ほっとけるような女じゃない、苦しんできた分人の痛みが分かるやろって』


『そう…』


『救える命なんやからって…言われたから。あたしは聖夜のそうゆう優しいとこが好きで…』


『おのろけやね(笑)若いっていいわぁ。私も昔に戻りたくなった』




そう言って看護婦さんは笑った。




看護婦さんだってまだまだ若い。


だって29歳。

充分若いっしょ!!





『ここの廊下の突き当たりやから。あと無菌室になってるからガラスの向こうには入らないでね。入るときは許可もいるし服も着てもらわないとだめやから』


『分かりました。わざわざありがとうございました。また明日ぁ』



あたしがそう言うと看護婦さんはニコッと笑って歩いていった。
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