モノクロの音色よ鮮やかに響け
【第一章】大きな洋館の偏屈者

1、初仕事~聞いてないよ!

私は、川畑邸の門の前で立ちつくしていた。

何これ、聞いてないよ~!

一体、部屋数がどれ位あるだろう。

広い芝生の庭の奥に見える、二階建ての、縦よりも横に長い長方形の川畑邸は、
家というより、館という方がしっくり来た。

窓の数を考えただけで、気が遠くなりそうだ。

う、大変そう…。

一瞬、回れ右して帰りたくなったが、
初仕事を始める前からくじける訳にはいかない。

私は意を決して、チャイムを押したのだった。
< 1 / 199 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop