モノクロの音色よ鮮やかに響け

4、光あふれる音楽室で

発表会の後、体育館裏から校内へ続く渡り廊下で、川畑は沢山の人に囲まれてしまった。

そこは唯一、校内にも体育館にも属さない、外と繋がっている所で、コンサートとして使われた時の出待ちや、卒業式で意中の人にボタンをもらったりするスポットになっていて、ある程度の無礼講が習慣で許されている場所だった。

合唱部で見た事のある女の子達が、
「川畑先生~!」
黄色い声で花束を渡そうとし、
「なんだ?」
川畑は眉をしかめて私に聞いた。

「合唱部の子達が、お花をくれるみたいです」
川畑は少し驚いたようだったが、
「手が塞がると歩きにくい。
教室にでも飾るといい」
と言って女の子達をガッカリさせた。

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