モノクロの音色よ鮮やかに響け
「アレンジ素敵でした」
弾き終えた川畑に言うと、
「リクエストがあればどうぞ」
なんだか機嫌が良さそうだ。

「自分で作った曲はないんですか?」
フフッと川畑は笑った。
「ないこともない」
え、それってあるの!?
「頭の中ではあるが弾いた事はない」
そういう事かぁ‥。

川畑作曲の音楽はどんなだろう。
聴きたい‥凄く聴きたい!
「弾いてもらえませんか?」
「お望みとあらば」
川畑はあっさりと快諾し、弾いてくれた。
でもそれは、気付けば10分以上もある大作だった。
一朝一夕に出来るような物ではとてもなくて、私はそれを川畑が弾かずとも大事に温めて来たのだろうと思った。
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