モノクロの音色よ鮮やかに響け

3、10分間の本音

「川…ば、たさん…川畑さん!」

私は、足の方に広がった血を無意識に避けながら川畑に近付き、しゃがみ込んで、震える手で川畑の両肩に触れた。
冷た、い…。

悪夢の中の、祖父が亡くなった時のイメージが蘇った。

「いやぁー!!」
力ない川畑の肩を、ガクガクと揺する。

パニックを起こした私を現実に引き戻したのは、意外にも川畑の声だった。

「…騒ぐな、生きてる」
生…きて、る!

「川畑さん!!」
「うるさい」
川畑は耳元で叫んだ私に、にべもなく眉をしかめて言った。

でも、私はとにかく川畑が生きてて、動いて、声が聞けた事に感激していた。
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