Tricksters
「大丈夫ですよ!
高級マンションです!」


オヤジは、グイッと親指を突き立てて「ニシシ」と変な笑い方をした。

その後ろに、引っ越し業者の黄色いトラックが停まった。


「大家さん~あとやっちゃっていいですか?」


「はいはい、お願いします」


「何、勝手に了承してんだよ! 俺は引っ越すなんて一言も言ってねーぞ!?」



引っ越し業者の黄色いツナギを来たニーチャンと、大家のオヤジが俺を可哀想な子を見る目付きで見つめてきた。


――空気読めよ?


そんな目付きだ。
俺が聞き分けの悪いガキみたいに考えてやがる。



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