別れの曲を君に(短編)

「綾……」


良平の声が綾の耳に届く。


違う。


良平じゃない。


ピアノを弾きながら、語り掛けているは『先生』だ。


「綾、やっと君に会えたよ――」


再び自分の名前を呼ばれて、綾は少なからず驚いた。


どうして、この人は、私の名前を知っているのだろう?


綾は彼に、名前を、教えてはいない。


それに、『やっと会えた』と、彼は言った。


やっとって?


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