HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~

コーヒーのお供に用意していたチョコレートやクッキーをセットしていたお父さんが顔もあげずに


「話したい事があるって顏してたけど」と口元に淡い笑みを浮かべたままその手を動かせていた。


何だ…最初から見抜かれてたってこと?だから敢えて久米をコンビニに向かわせたってこと?だってさっきちらっと見えた。冷蔵庫の中に牛乳パックがあったのが。


「……はい」あたしは素直に頷いた。





「気にすることない」





お父さんはあたしが何も言わずとも、先回りして言った。今度はあたしの方を見ていた。


その柔らかい視線と目が合った。


何を―――?と聞かなくても分かった。


あたしが目をまばたくと


「君が負い目に思うことは何もないよ。運命て言うことはあまり好きじゃないけれど、でも冬夜が大事に想ってる子をあいつ自身で守った。私はそのことの方が誇らしい、そう思ってる」


とお父さんはそう続けた。




「そしてあいつが大事にしてる子が、君で良かった。そうも思ったよ」



お父さんの言葉に目を開くと


「君は自分のせいで、って思って私に謝罪しようとしてきた。違う?」と聞かれ、あたしは慌てて頭を縦に振った。確かに謝ろうとしていたのは事実だ。いつ言い出そうかそのタイミングを計っていた。


「ひとを思いやる気持ちがある子。それは素晴らしいことだよ」


お父さんは穏やかに笑った。




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