想い

和人の想い

ピリリリリリ♪……!!
せっかくの休みだというのに、朝早くから俺の携帯が眠りを妨害してくる。
寝ぼけなまこで、携帯に手をのばした。
「はい…、もしもし…」
「あ、和人〜?わたしだけど〜。」
「りかか…。なんだよ、俺ねてたんだけど…」
電話の相手はりかだった。
ここ2、3日前に付き合うことになった女。
別に好きとか全くなかったが、彼女もいなかったから軽い感じで、さやかに告られたときにOKをした。
「あんさ〜、今日買い物つきあって!もう駅にいるから迎えに来てね〜。」
「ちょっとまて!俺の予定も…」
考えろとゆうまえに電話は切れていた。
「ったく…、あのワガママ女…」
しぶしぶりかを迎えに行く支度を始める。
台所に立ち顔を洗う。
「やべ、タオル忘れた。みさっ…!」
美咲。思わず呼ぼうとした名前。
「あいつもういないんだった…」
俺はベチャベチャな顔でタオルを取りにいく。
美咲がいたころは、朝必ず台所にタオルが用意されていて、テーブルには暖かい珈琲が置いてあった。
不器用だし、掃除は苦手だし、素直じゃねーし。
でも一途で、料理だけは得意だったっけ。
その時のおれには、その一途さが、スゴい重かった。
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