揺れない瞳
きっと、大学でも女の子に人気があるに違いない整った顔は、今は私だけに向けられている。
央雅くんの瞳に映っているのも私だけ。

切なく心細そうに揺れてる私がひっそりと、その瞳に存在している。

「今までのタフな人生とは違う穏やかな毎日に、俺がいるから」

小さく笑う央雅くんの言葉は優しくて温かい。私を包む毛布みたいにふわふわと心をなだめてくれる。

でも、気付いてる?

今、央雅くんはとても苦しそうなんだよ。

私を見つめる央雅くんの顔は、芽依さんの事を話す時と同じ。

苦しみと切なさが溢れてる事に気づいてる?

まるで、央雅くんの目の前にいる私の向こう側に、芽依さんを見ているようだって。
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