家族になろうよ!

むくれていたら、前を歩いている女子三人組がこちらを見ながら口に手を当てて笑っていた。


「服織女くん、ブレザー大き過ぎじゃない?袖も裾もダボダボなんだけど」


「やだ、大きくならないでちっちゃいままでいてほしー」


「新学期早々ご機嫌斜めっぽいの、そのせい?ほっぺた超可愛い!」


今年度一発目の『可愛い』をいただいてしまった。

大きいとかダボダボとか、ほっとけ。

俺の身長はこれから三年間で二十センチ伸びる予定なんだ。


「斗馬クン、ファンの子からアピールされてますよ。答えてあげたら?」


ニヤついた顔でのぞきこんでくる凌の提案を、溜息一つで却下する。

今までなら声をかけられたり目が合ったりすれば会釈くらいしていたが、もういい加減疲れたんだ。


「……もしかして、やつれてる?」


「まあな」


突き放すように答えると、凌はふざけた表情をしまい、澄ました様子で言った。


「じゃあ放課後にたっぷりお話を聞くことにしましょうか」


このやり取り、この雰囲気。

会わなかったのはほんの二週間弱ほどのことだったのに、懐かしくて、ほっとして、ちょっと泣きそうになった。

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