鬼
ニーキ草原での勝負!
そしてオレたちは町外れの草原で戦うことになった。
…さすがに、町の中では無理があるだろう…。
彼らの力がどれほどのものかは分からないが、戦うとなればそれなりに被害が出る。
それに戦いの最中、鬼にならざるを得ない状況に陥るかもしれない。
…他人に正体がバレるということは避けたい。
鬼の姿を見て、平気でいられる人なんて普通いないだろう。
オレも腕輪をしているものの、理性を保っていられるかは保証できない。
見渡す限り草の絨毯が続いている。
この草原を3kmほど進むと、
それより先にはカリス海を見渡せる崖がある。
この崖から落ちた者は、下に構えるサメに喰われて、生きては帰れない…。
そのため、この優雅に漂うカリス海は、別名”地獄の海”と言われている。
「成る程な。
ここなら自由に戦えるってわけか。」
男は辺りを見渡しながら言った。
その手にもつ刀を、草の地に突き刺す。
「…んで、どうすんだ?2対2で戦うわけ?それとも……」
「二手に別れて1対1で戦いましょ!」
シュウの言葉を女が遮った。
さも、初めから決めていたような素早さだ。
シュウはその事に一瞬驚いたようだが、それを聞いてニヤリと口角を上げた。
「へぇ〜…、
で、オレとサキ、どっちをご指名で?」
そのシュウの言葉に女はゆっくりとオレの方を見た。
オレの心臓がドクンッと跳ねる。
「この人と、戦うわ。」