鬼
相棒対決
サキとアイビィが戦い始める少し前。2人の男達の戦いは既に始まっていた。
塩辛い風が吹く中、シュウは軽やかに男の攻撃をかわしていた。
男は大刀を疾風の如く振り回すのだが、それを難無くシュウは避けていた。
そして避けるのと同時に相手にカウンターまで食らわしていた。
「ちょっと、丸腰の相手に武器で攻撃するなんてないんじゃねーの?ていうか、当たってないし。」
「……。」
「…なんだよ、無視かよ!」
シュウは攻撃の手を休め、男を挑発するように余裕な発言をするが、男は怒るでもなく、ただ刀を振り回すだけ。
これが戦いといえるのだろうか?
と端から見ればそう思ってしまうほど、男の攻撃は当たらず、シュウの一方的なバトル展開になっていた。
が、
シュウは刀が自分に届く前に避ける。男は刀を振り回す。
…というバトルも長くは続かず、男は突然攻撃を止めその手に持つ刀を地面に突き刺した。
ザクッという音がする。
「…何のつもりだ?」
シュウは攻撃をやめた男に少し戸惑うが、拳を作った両手を胸の前に構える姿勢は解かない。
相手が不可解な行動に出たからこそ警戒の手を緩めるわけにはいかない。
「アンタくらいの相手になら本気を出してもいいと思ったから、刀は、捨てる。」
「何だと…?」
「正直、アンタがここまでやるとは思わなかった。」
男はそう言うと、シュウのように両手を胸の前に持ってきて拳を作った。
「ここからが本番だ。」
男は不気味に口元を歪め、シュウを見据えた。