鬼
「殴った…?」
オレはポカンと口を開けてしまった。
だって、殴られたくらいで気絶したのか?
オレが?
そんな簡単な処置で鬼を退治できるんだったら、誰も苦労しないだろう。
オレは”有り得ない”という言葉を口に出さない代わりに、表情で訴えてみた。
シュウはオレの顔を伺い、ニヤッと笑って
「まぁ…殴ってはみたもののお前には全く通用しなかった」
…そうだよな…。
オレはホッと安堵の溜め息をついた。
でもそうすると、どうやって鬼の暴走を止めたんだ…?
「さすがじいちゃんの作った腕輪だよな〜。」
シュウは空を見上げてぽつりと呟いた。
「サキがさ、殴ったオレに気付いて攻撃してこようとしたんだよ。
オレは足もイッてるし、明らかにお前には勝てねぇから、殺られるって思ったんだ。」
シュウはそう言うとオレの腕輪に視線をよこした。
「そしたらさ、その腕輪が突然光って、
…光った瞬間にお前がその場に気絶したんだ。」
そうだったんだ。
結局は腕輪のお陰で助かったんだ。
…じいちゃんが助けてくれたんだ…。
オレは腕輪に手を当て、星が輝く空を仰いだ。