他がために悪はある
身も心も、他人で汚れていた。
他人を殺し、殺した残骸が体を犯す。
其は、血潮の軍人。
不敗を誇った悪人であり、数多の正義を還してきた。
戦いにおいて、血を流し。
闘いにおいて、血を流さず。
こうしてまた、彼女は死体を踏み越えて、願いの先に一本近づく。
正義などない。語れない。
綺麗ではない。あるはずがない。
だから身を投げ出せた。惜しみなく、汚いからこんな場所に降り立てるのだ。
また戦おう。
また刺そう。
また殺そう。
あなたと一緒に笑うために――

