手の平から


私はリビングに通じるドアを開けようとした。



「賀山さんも渡辺さんも彼氏いるの、井上?」





部屋から声がした。


「渡辺さんは知らないけど、賀山は最近まで二つ上の彼氏がいたはず。」


井上が答える声がした。


「最近って?」




私はついドアの前で立ち止まってしまった。


「6月?いきなりだったし。」

「えっいきなりって?」

「彼氏が二股してたらしい……」
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